公益社団法人 日本水産資源保護協会
 

閉鎖性水域における自動観測ブイによる漁場環境の速報と予報
−有明海の経験から−

はじめに

 平成12年末に有明海で発生したのり色落ち対策事業のうち,マリノフォーラム21を経由した平成13年度の水産庁補助事業として,「漁業者参加型漁場環境予報システムの開発」が採択され,事業が実施されて早2ヶ年が経過しました.これまで,当協会が中心となって福岡県地先に5基のブイを設置し,福岡県および福岡県有明海漁業協同組合連合会の全面的な協力を得ながら,自動観測ブイによる漁場環境のリアルタイム情報,時系列情報,予報等を発信してきましたが,漁業者への普及活動の成果もあって,昨年度は約7,000件のアクセスを得るまでに成長しました.

 有明海のような閉鎖性水域において,自動観測ブイによる漁場環境情報を取得し,これを速報すること,水温,塩分,赤潮発生等の変化を予報することによって,漁場環境変化に即応したのり養殖管理作業が実施できるほか,作業を計画的に進めることが可能となり,その効果は当初予想していたよりもはるかに大きいことが分かりました.

 この間に研究会会員が経験した自動観測ブイの設計から,設置,観測データの受信,データの解析と配信,予報の作成などの一連の作業をとおして,解析,予報等のソフトを開発することができたほか,新たなノウ・ハウを蓄積することもできました.今後,自動観測ブイによる漁場環境情報を取得して,速報,予報を試みる動きの輪が広がることを期待しながら,これまでのわれわれの経験を冊子として取りまとめましたので,これが有効に利活用されることを期待します.

 研究会の会員はその道の専門家ではありますが,企業の職員として日常の多忙な業務を抱えながら,研究会に参加しておりますので,取りまとめるのに十分な時間的余裕はなく,いろいろな制約が多い中で,開発事業の成果を取りまとめたものです.ここに,漁場環境研究会に参加し,取りまとめに従事された会員各位にお礼申し上げます.

 終わりに,この研究開発事業の機会を与えていただいた水産庁,社団法人マリノフォーラム21,現場においてご協力をいただいた福岡県,福岡県有明海漁業協同組合連合会,現場情報を提供いただいた漁業者,この事業をご指導いただいた管理・予報委員会の先生方に,心から厚くお礼申し上げます.

平成16年6月
社団法人 日本水産資源保護協会
会長 澁 川   弘


表紙

日本水産資源保護協会
漁場環境研究会

定価
会員・賛助会員:900円(税込)
一般:1,000円(税込)
送料別
  目  次
自動観測ブイを設置した経緯
  • 海洋観測とは
  • 自動観測ブイ
  • 自動観測ブイのセンサと制御通信システム
  • ブイの設計基準
  • ブイの設置と運用
  • 情報管理・発信システムの運用
  • 漁場環境の予報
  • 総合考察
  • 今後解決しなければならない問題点
漁業者参加型漁場環境予報システムの開発に係る管理・予報委員会名簿

漁場環境研究会 会員名簿
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